世界には二種類の人間がいる。この映画で笑える人間と笑えない人間の二種類だ。 ☆ 3点(100点満点)
年に2.3本しか出さないと言った最低ランクの☆の作品を一週間のうちに二作品、しかも日本で大物とされる芸人がつくったコメディーでこの評価がでたから驚きだ。正直「監督・ばんざい!」を観たときに、これほどひどい映画はしばらく観ないなとタカをくくっていた。しかし、「監督・ばんざい!」を観ておいて、「大日本人」を観ないと後悔することになりそうなので観ることに。
この映画を観た感覚は海外の映画館で一人で鑑賞したときの感覚にとても似ている。日本国内でも構わないが、外国人と映画(特にコメディ)を観ると笑いのタイミングがかなりズレることになる。劇場の中でポツンと一人だけ笑えない。お笑いは特に文化的な背景があるので、国が違うと笑いのポイントもズレてくるんですな。そんな異文化体験をこの映画で得るとは露ほどにも思わなかった。ただこの映画では笑っていた方が少数だったが。
中程度の広さで一人だけ爆笑し続けている人がいた。どこからともなく聞こえてくる笑いは、お笑い番組に入れるスタッフの笑い声みたいなものかと思ったよ。笑いのポイントがズレるのは単に感性だけでなく、共通の歴史や思想などがあってはじめて笑いという感覚を理解できるから。そう言った意味では、僕と松本人志には共通の世界観というものがなかったに違いない。
この笑いの世界はかつてフジテレビで放送していた、「ごっつええかんじ」そのもの。あの番組で繰り広げられた、松本人志ワールドの映画版と思ってもらえればいいと思う。ただ問題は、映画ということとそれに伴って、上映時間が約2時間あるということ。「ごっつええかんじ」にはこの映画と同様のシュールなコントもあったが、せいぜい3,4分程度のモノ。番組内でいろいろなタイプのコントがあるからこそ、それぞれのコントにメリハリがでて、その作風が際だつのである。で、シュールな作品を2時間流されたらどうよ?
法事の僧侶の読経並に退屈な2時間だった。。。。
▽▼ネタバレあり▽▼
この映画の肝はそのネタの部分だと思うので、あまりネタバレはしない。
獣と闘うという使命を持った大日本人の一族の6代目大佐藤、そんな彼を追うドキュメンタリー番組の視点とCGを使った獣との戦闘シーンが交互に進んでいく。ドキュメンタリーシーンは冗長。シュールな笑いを織り込ませつつも、全ての笑いがシュールなため、笑いのタイミングがなかなかつかめない。ドキュメンタリーシーンはその通りドキュメンタリー形式な為、松本がボケてもツッコミがなく、そのまま淡々と物語が進んでいく。実は笑うポイントは数々あるのだが、全くツッコミがないため注意して観ていないと下手するとそのまま逃してしまう。判ったとしてもこれらのところで笑えるかは、微妙なところ。
もう一つ微妙なところはCGでつくられた、獣との格闘シーン。大佐藤が巨大化し大日本人としてこれらの獣と闘うのだが、なぜかフルCG。
なぜかというのは、CGがどう見ても一世代前のCGで見た目にCGと判るもの。これが予算との関係上こうなったのか、それが狙いなのか(おそらくは前者)判らない。CGでやる必要性はなかったのでは?と思うほど粗いつくり。もともと格闘シーンも格闘そのものが目的ではなくその獣らとの掛け合いが目的なんだから、着ぐるみの実写で良かったのではと思う。(もしラストシーンとの兼ね合いでCGで撮ったのなら、ある意味壊れている)
CGにした事で、相手の獣との掛け合いが声のみになってしまい、その魅力も半減である。
とにかく一般向けでなく、「ごっつええかんじ」が死ぬほど好きで、松本人志のお笑いが最高だと思う人以外には全く勧められない。多少好きならいいかと思った僕のような人でもダメだった。
時間と金が余っていて、怖いモノを観たいなら、「監督・ばんざい!」とともに見ることをお勧めします。

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