博士の愛した数式

ショートタイムメモリー(前向性健忘)は、映画界にかなりの需要があるらしい ★ 11点(100点満点)
 
 ごめん、とにかくだるかった、最後まで見るのが。ちょっと前に書いたLIMIT OF LOVE 海猿」が日本映画の動の悪い見本だとすれば、この作品は静の悪い見本。なんだろこの間は。存在感が大物の間を出すのであって、間があればすごい演技というわけではないんですよ。見ているこっちがその間について行けないわけで、冗長なつくりになってしまってる。

 主人公である数学が専門の「博士」は事故で、事故後の記憶は80分間しか記憶できないという設定です。ショートタイムメモリーと言えば、「メメント」とか「50回目のファースト・キス」、あと「ファインディング・ニモ」にもそんなキャラがでてくる。その中で臨んだ和製ショートタイムメモリー映画(そんなジャンルがあるのか知らんが)がコレ

 

 


 この主人公の「博士」がショートタイムメモリーである必要があったのか疑問。小説の映画化なので、「原作がそうなので」と言われればそれまで。原作自体は読んでないので、原作の設定自体に問題があるのか、それとも原作をうまく活かしきれてないのかは判らない。ただこの手の研究者にありがちな浮世離れした行動と、ショートタイムメモリーの設定と、寺尾聰の大物よろしくな間のある演技が相まみえて、あたかも痴呆の人の状況を呈しているのは皮肉なところ。一昔前の芸術的な邦画作品の演技の様で、深津絵里の現代的な演技とうまくかみ合ってない。家政婦である深津の息子役の演技も、子役独特の棒読み。ハリウッド映画と邦画の決定的な違いは、子役の演技力。なんでみんな棒読みなんだろ。劇団なんとかでそう教えるのかな。同時進行のその深津の息子が大人になった現在の高校の教室の生徒達も見事なまでに棒読み。出演者全員が思い思いの演技をしてまとまっていない感じ。

 ストーリーに数学が絡んでくるのは、数学好きに人にとっては面白いのかもしれないが、そうでない人にとっては退屈で、しかも感情移入ができない原因に。吉岡秀隆が演じる数学教師の授業のシーンで、それについてわかりやすく解説はしてくれるが、だから何よ?と思ってしまうのは、数学について判る判らない以前に、数学について数式レベルでの美しいとか綺麗との感情が芽生えないと難しいかも。

 同じ数学者を熱かった映画で「ビューティフル・マインド」があるけど、それ映画の方が数学の内容に関する言及は限定的だけど、それへののめり込み方が伝わってくるんだよね。なんだか難しい専門的なことを言っていれば、専門家然としていられるだろうと言う演出サイドの思惑が裏目に出た感じ。1つの映画に詰め込みすぎ。数学に絞るかショートタイムメモリーに絞るかしてほしかった。

関係ないが深津ちゃんはいいね。それだけがこの映画の収穫。

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