パッチギ

よく頑張った!!苦しみを超えて最後までよく耐えて観た俺へ ★ 28点(100点満点)

 日本の映画界の潮流を考えると、ここ数年いくつかの流れがあって、一つは予算をかけた大作化であり、テレビドラマやコミックが原作の映画化である。それ以前の観られたものではないレベルの映画から、何とか観られるレベルまで技術レベルは向上している。作品によっては十分面白い作品や個性的な作品が生まれてきており、将来的に十分期待して良いと思っている。その陰でもう一つの潮流は、いわゆる在日ムービーであり、在日会社のシネカノン主導で、数々の作品を生み出している。「Go!」とか「血と骨」などがあり、その成否は横に置いておいても一つのジャンルとして生み出している。

 で、この作品は期待と諦めが相半ば。いろいろな批評で評価の高い作品であるのが期待で、監督があの井筒監督であるのが諦め。北朝鮮を共和国と呼んだり、日本赤軍を賛美したり、そりゃもう真っ赤っか。監督の作品は見たことなかったけど、そりゃもう一度は観てみないと賞賛するにも批判できないからね。で観たのが「パッチギ! 」。「パッチギ! LOVE&PEACE」にあわせてテレビ放映してたのでね。

 僕だけかもしれないが、映画を観る前って、一応その映画に関してどの程度のできか予想して観るんだよね。映画評とか予告編などで。この作品もクソ映画臭を嗅ぎ分けたんだけど、そりゃもう評論家絶賛ですよ。期待値が高く実際のツマラナイ映画を観ると評価は低く、期待値が低くてもそれなりに面白い映画を観ると実際の評価は高くなりがちに。この映画に関して言えば期待値は低かった(もっといえば最低レベル)だったのに、、、、、、

▽▼ネタバレあり▽▼


 この映画は三つのパートに分かれる。朝鮮学校の生徒と日本人の生徒の乱闘・喧嘩シーン、在日に対する差別を描くシーン、日本人の主人公と在日のヒロインの恋愛シーン。問題は乱闘・喧嘩のシーン。時代が70年年代の設定のせいか、その主体はいわゆるツッパリで、コメディーっぽく描かれているんですな。思い出したのは往年のツッパリマンガ。ビーバップハイスクールとかそんな世界観。でもって、肝心の喧嘩シーン・乱闘シーンはPTA真っ青でえげつない。そのアンバランスが見事にマッチしていない。しかもストーリーの要所要所に盛り込まれるので、興ざめ。これらのシーンを客観的に観たら、悪辣な朝鮮学校生徒とツッパリの抗争事件にしか見えない。これは監督自身の思想として反政府的でアナーキーなモノに肯定的だから、このような描き方に対して肯定的な評価をしているんだろうけど、一般の日本人が観たら朝鮮学校生徒側の方が非道いと感じるだろうね。監督の思想からして逆でしょ?

 恋愛パートはとってつけたようなもの。最後に在日の女の子に恋している日本人の高校生が、ラジオ局で南北統合の象徴の歌「イムジン川」を歌うんだけど、(゜Д゜)ハァ?ってな感じ。左翼思想にのめり込んでないと感情移入できないでしょ。朝鮮戦争終戦すればいいじゃん。祖国に帰ればいいじゃん。との感想が出てくるのが一般日本人の率直な気持ちでしょう。
 差別シーンも今時このような話にどれだけの日本人がうなずくんだろうか。在日の葬式で在日に恋する高校生に親族が「お前ら日本人は~」的なことを追求するんだが、いまどき強制連行神話ですかと。

 俳優陣の演技は正直批評しがたい。と言うのも前述の通り、乱闘シーンのコメディー的なタッチと、恋愛シーンの学園ドラマタッチ、差別シーンのシリアスタッチが混在していて、演技がしにくかったのでは?随所で熱演はしているもののの、総合的に観ればそれを結実できていないのが残念。それにしても日本人俳優ばっかりで、どうして在日の俳優や韓国人(韓流前だが)にしなかったんだろ。

 作品全体を観ると、井筒監督の主張するような思想を正確に描けていたら、映画としての評価としてはもう少しあったのかもしれないが、自らの主張すら描ききれなかったのがダメ。


マイケル・ムーアほどの妄想はないものの監督自身が意図していない方向へ観客を向かわせる迷作。

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