これを現在の政治状況と重ね合わせてどのように考えるか★89点(100点満点)
911事件以降増えたのがアラブ社会を題材にしたもの。それは様々でアメリカ国内のアラブ系移民を扱った物からこの「キングダム・オブ・ヘブン」の様に、過去までさかのぼってイスラム社会とキリスト教社会の対立を描いた物まで様々。その中でこの映画は限定的な状況下で、イスラムとキリスト社会の共存に触れている、希有な作品と言えるかもしれない。監督はリドリー・スコットでさすがその辺りのバランス感覚は優れている。
第二回十字軍を題材にしたものの、僕自身がこのあたりに詳しくないので、史実との整合性は保留。ただ、主人公は実在しないようで、いくつかの点で脚色があるらしい。ただ、大枠での歴史の流れは史実通りで、エルサレム王国の滅亡までを描いている。ただ、この映画のテーマは異文化、特にイスラム社会との共存なので、些末な部分の脚色は気にならないだろう。
▽▼ネタバレあり▽▼
この映画の見所はやはり戦闘シーンのダイナミズム。CGを使っているのだろうが、いかにもコピペな描写はなく、大軍が入り乱れる様を見事に映し出している。エルサレム城の攻防戦では、投石機の迫力や攻城塔での城壁を巡っての攻防は新しく迫力がある。その攻城塔が倒壊するシーンなどは、ミニチュアともCGとも見分けが付かないほど精巧で極めてよく描写されている。
良いのは戦闘シーンだけでなく、平時の人間関係や機微・策謀などもよく描けている。エルサレム王ボードゥアン4世をエドワード・ノートンが演じていたとは最近まで判らなかった。もちろんらい病で仮面を付けているからでもあるが、普段のやや演技過剰な部分が和らいでいて、作品全体のバランスによく合っていて、物語を盛り上げている。ボードゥアン4世は穏健派で、キリスト教とイスラム社会の共存を実現していて、その毅然とした態度の部分と穏健的な部分の演技の調和が見事。エドワード・ノートンのみならず、この映画は脇役が盛り上げていると言っても良いかも。主役のオーランド・ブルームも悪くはないけどね。
この手の映画を見ると、大画面テレビと音響の整った部屋で見たくなる。





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