アンソニー・ホプキンスとエドワード・ノートンのガチンコ対決★93点(100点満点)
エドワード・ノートンという役者はあまり好きでない。演技が上手いんだが、過剰演技というかあまりに突出しすぎて作品全体のバランスを壊していることが多々あるので。しかしながらこの「レッドドラゴン」では、アンソニー・ホプキンスという相方がいるためバランスも保たれ、作品としてかなりのレベルを保っていると思う。「羊たちの沈黙
」のジョディー・フォスターとはまた違った世界観を作り出している。
この作品は時系列で言えば「羊たちの沈黙」の前、「ハンニバル・ライジング」の後。ラストシーンで「羊たちの沈黙」のクラリスとおぼしき面会者が訪ねてくるなど、シリーズの中で「羊たちの沈黙」との関連性が高い。キャストもグラハム(エドワード・ノートン)の上司のクロフォード(ハーヴェイ・カイテル)が変わったものの、チルトン博士(アンソニー・ヒールド)が引き継いでいる(と言っても共通のキャストはそれくらいだが)。
このクロフォードのキャストの変更は疑問。「羊たちの沈黙」のスコット・グレンは線が細く、まさにプロファイラーといった雰囲気だったのだが、新クロフォードはまさにFBIの上司といったタフな役柄になっている。これはグラハムのキャラクターとのバランスを考えた結果とも言えるが、あの独特な雰囲気が好きだったモノにとって、普通の上司になったクロフォードという役柄は魅力半減だ(クロフォードファンがそういるとは思えないが)。
ただ、その他の俳優陣はホプキンス&ノートンに引けを取らないほど強力だ。ダラハイム/レッド・ドラゴン役の(レイフ・ファインズ)もさることながら、その同僚で盲目の恋人役のマクレーン(エミリー・ワトソン)は、盲目の演技もさることながら、猟奇殺人犯の気を引く女性としての魅力もたっぷり。
▽▼ネタバレあり▽▼
ストーリーも精緻に富んでいる。特にグラハムとレクターの掛け合いのシーンは、そのセリフの端々から二人の知性を感じられるモノになっている。また、随所に「羊たちの沈黙」を意識させるカット割りやセリフも織り交ぜられていて、「レクターシリーズ」 のファンなら納得のいく出来になっている。今回のレクターは冒頭に逮捕された後は最後まで拘留されているが、狭い部屋の中での活躍も健在で、例のごとくレッド・ドラゴンを間接的に操り、グレハム捜査官を殺害しようとする。
「羊たちの沈黙」のバッファロー・ビルもそうだったが、猟奇殺人犯の役者が魅力的なのもドラマを盛り上げる。今回は、レクターが塀の中にいる為、華麗なる猟奇殺人はレッド・ドラゴンに全て任されている。実際の殺害シーンは例のごとく控えめ(いい意味で)。次の殺害を行うまでの間という時間的な制約が物語にメリハリを付けている。地味ながらもイヤな役柄としてフィリップ・シーモア・ホフマンが演じる新聞記者もレッド・ドラゴンとグラハム捜査官を結ぶ役割をキチンと果たしている。
クラリスという紅一点がいない今回は代わりにダラハイムの盲目の同僚が花を添えている。しっかりとした心の強い女性で、物語の中で重要な役割を演じている。特にラストに絡んでくるのだが、この作品で唯一難点を言えばラスト近くのシーン。彼女がレッド・ドラゴンに残されたまま屋敷に火を付けられるのだが、大ラストへのトリックの一つとして使われるのである。その部分が、精神異常をきたした猟奇殺人犯というよりは、映画のためのプロットにされていると感じた。また、グラハムも二度にわたってレクターとレッド・ドラゴンに二度にわたって襲撃され負傷しているのだがサスペンス作品としてはそのようなアクションは避けても良かったのではと思う。
全体的に見れば極めて完成度の高い作品になっている。ある意味レクターに主眼を置いた「ハンニバル」「ハンニバル・ライジング」とは対極的な作品に仕上がっている。
この路線でもう一作作れないモノかな・・・・





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