男たちの大和/YAMATO

CGによる艦砲射撃シーンが唯一の見所 ★ 10点(100点満点)

 テレビで放映される映画は「面白そうな」映画はその時点で観るのだが、「面白そう」ではない映画やその時間に観ることができない映画は、HDレコーダーで録画してヒマな時に見ることにしている。HDに録画した映画は深夜の映画も含めて、「面白そう」な映画から観ていくことになり、当然ながら「面白そう」ではない映画は長い間HDにデータだけがある状態になるのである。この「面白そう」というのは当然僕の先入観による想像であるけれど不思議と当たるのである。この映画は4月にテレビで放映されて、いま観たと言うことは、僕のこの映画に対する期待が判るというものであろう。結果としてこの想像が大当たりしたわけだが、ツマラナイ映画はツマラナイ映画として、いかにツマラナイかを書き連ねるのがせめてもの供養だと考える。

 「男たちの大和 / YAMATO」は言わずと知れた、帝国海軍の戦艦大和を題材にした映画である。以前からこれら戦艦大和を題材にした映画やドラマは多く、その艦名とあわせて日本人の琴線に触れるのは判るのだが、個人的にはそもそも大和をテーマにした作品自体に無理があると思う。戦艦大和が舞台になるのは大戦の後期で、日本海軍は先のレイテ沖海戦で敗れ、まともな艦隊戦を行うことが不可能になってからである。つまりはそこに、まともな戦略なり戦術を期待すること自体が無理な状況であり、映画ドラマで取り上げられるのは、先に書いたとおり日本人の琴線に触れるからのみであると思う。ただ、まともな戦術をもはやとれる状況でない以上、戦艦大和を帝国海軍としては特攻させて、映画としては感動大作にするしかないのである。 「硫黄島からの手紙」との違いはまさにここで、「硫黄島~」では多少なりとも描かれていた戦術が、「男たち~」では皆無なのである。その結果、「硫黄島~」では「安心して暮らせる日が一日でも延びるのなら、. この島を護る一日には意味があるのです!」のセリフを現す様に玉砕してもそこで踏みとどまることに意味があったのに対して、この「男たちの~」では戦艦ごと湾に突入し座礁させ陸上の砲台として活用するという荒唐無稽な目標になるために、兵士の奮闘も単なる無駄死ににしか見えないのである。

▽▼ネタバレあり▽▼


 冒頭は現在のシーンから始まるのだが、何となくこのシーンどこかで見たことある・・・・・

鈴木京香が演じる「元大和乗組員の一人の養女」が港で、戦艦大和の沈没場所に行きたいと数々の漁師に懇願するのだが断られるのである。そのときのセリフが「北緯30度43分東経128度04分へ連れて行ってください」であってなぜか「戦艦大和の沈没場所」とは言わないのである。あまりにもったいつけた言い方になっている。これはれっきとした戦艦大和の映画であって、観ている方からすると容易にそれが戦艦大和の沈没場所だと想像がつく。後にそれが戦艦大和の沈没場所だと判っても感動は起こらず、白けた感情に陥るのでであるしかも「北緯~」が何度も出てくるので白けるばかり・・・・関係ないが、これを演じているのが好きな鈴木京香だけに残念!!(彼女のせいではないよ)

 帝国海軍最大にして世界最大の戦艦大和は早々にでてくる。なんでも実物大のセットを6億円も出して作ったそうだが、見るからに安っぽい作り。セットとはいえ実物大の大きさなので6億くらい掛かるのかも知れないが、どう見てもセットにしか見えない。しかもほとんどのシーンが、物語の主人公達が配属された、左舷の対空砲台でのモノなので、その大がかりなセットを活かし切れてはいない。それだったら大和の雄志を見せるシーンはCGに任せて、対空砲台のセットに金をかけるべきではないかと思う。

 物語は単調。先に述べたようにそもそも物語を作りにくい題材である上に、ストーリーが新兵および下士官の視点から描かれているために、ただただ戦艦大和で費やす日々を映像として垂れ流しているにすぎず、いつの間にか戦闘になりただ沈んでいくだけなのである。戦闘シーンも対空砲台という極めて地味な配置の描写が主で、ただ向かってくる敵戦闘機を撃つだけであり戦略はおろか戦術も見られないため、恐ろしくつまらない戦闘シーンが延々と続くのである。日本の映画関係者って観客をドキドキさせるようなプロットを仕込もうと考えないんだろうか?

 ラスト近くで、先に書いた「元大和乗組員の養女」が沈没場所に着き、亡くなった養父(ちなみに亡くなったのは戦艦大和の戦闘中ではなく、現在における去年・・・)の遺骨を散骨するのだが、偶然その場所に連れて行ってくれた船の船長(仲代達也)がその養父と戦友で(賢い読者は判ると思うが、主人公達左舷対空砲台で同じ組の戦友)な ぜ か 心 臓 発 作 で 死 に か け る のである(゜Д゜)ハァ?しかも、私の愛しの鈴木京香とのマウスツーマウスでの人工呼吸シーンをお披露目するのである。意味不明。いろんな意味で許せん。

ラストはタイタニック崩れ。この映画大ヒットらしいが本当か?

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映画や本を淡々と語る - 硫黄島からの手紙 (2007年6月27日 13:07)

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